忘れられない生徒③

生駒市さつき台で3月開校予定のTSUBASA塾のニシボリです。

2月よりプレ開校イベントを行います。

費用はいただきませんので、ぜひご参加くださいね。→【イベント】

 

受験前にもなると、生徒たちはたくさんの質問を持ってくるようになります。

質問のやり取りを通して、その子の姿が見えることもあります。

 

ある生徒のことです。

その女の子は、よく話す方ではなく、口数は少ない方でした。

話しかけてもつぶやくように返事を返すくらい。

もしかしたら男の先生が少し怖かったのかもしれません。

 

だからと言って、その子を放置していいわけはありません。

その子は中1のとき、数学が苦手でした。

数学担当だった私は授業のあとに

「わからないところない?あったらいつでも質問してね。」

と声を掛けていました。

 

なかなか質問に来ることはありませんでしたが、(おそらく意を決して、緊張しながら)数学の質問に来てくれました。

「どれがわからない?」と聞くと、彼女は持ってきたテキストの問題をただ指差しました。

質問に来てくれるようになるだけでも素晴らしいことですから、その一問をできるだけ丁寧に説明しました。

「わかった?」と聞くと、彼女はただうなずきました。

 

こんな感じで、彼女は「指差す」「うなずく」だけでした。

 

が、これがきっかけとなったのか、ここから彼女はたくさんの質問を持ってくるようになりました。

だんだん僕の方も

「今の(彼女の)うなずき方は、きちんと理解しているな」

「今のは、たぶんあまり伝わっていないな」

と「うなずき方」で何となく彼女の理解度がわかるようになりました。

 

2年生になり、数学担当が僕ではなくなりました。

しかし彼女はどうも新しい数学担当の先生とは合わなかったようで、質問だけは僕のところに聞き続けていました。

新しい数学担当の先生は、僕から見ても授業もわかりやすく素晴らしい先生です。

ですが、人と人のことですから、どうしても合わないということはあり得ます。

 

一度、彼女が質問に来た時の様子がいつもと違ったことがありました。

いつもよりこわばった表情をしていました。緊張とは違う表情。

何があったのかを聞いてみると、小さい声でしたが、話してくれました。

 

その新しい数学担当の先生から理不尽な怒られ方をされたとのこと。

彼女はそれに対して腹が立ち、それでこわばった表情をしていたようでした。

僕はその新しい先生と話をし、お互いの認識のずれが原因だったとわかり、彼女にもそれを伝えました。

彼女も納得はしましたが、気持ちはまだ整理できていない、というような状況。

しばらく僕が質問だけは聞き続けるという形を取りました。

 

時間が解決してくれた部分はあったと思います。

彼女も気持ちが整理できたのか、少しずつですが、新しい先生にも質問に行けるようになりました。

その後、その先生のもと、無事志望校への合格を決めました。

 

僕は理科や数学といった教科を担当することが多かったので、質問はたくさん聞いてきたつもりです。

質問にくるという行動は、時に話し合うよりも雄弁なコミュニケーションとなることがあります。

 

もちろん「わからないことを解決する」のが第一の目標です。

ただ質問をきっかけにさまざまな生徒の様子を知ることができます。

指導する側にとっても非常に貴重な時間なのです。

 

僕はこの質問を聞く、という時間がとても好きです。

この新たなTSUBASA塾でもどんどんと質問を聞いていきたいと思います。

わからないところがあれば、どんどん来てくださいね。