TSUBASA塾では2月よりプレ開校イベントを行います。
ご興味がある方はこちらをどうぞ。
奈良県の公立入試には3月の「一般選抜」、2月の「特色選抜」があります。
「特色選抜」は、いわゆる「普通科」以外の学科で行われる入試です。
(昔は普通科でも特色選抜がありました。)
昔、教えていた生徒にある高校の特色選抜を受験する生徒がいました。
当時の特色選抜は、倍率が非常に高くなることが多かったです。
だいたい一般選抜では1.3倍もあれば「高い倍率だ」とこの業界の人間は捉えます。
(300人定員のならば300×1.3=390人の受験者がいて、390-300=90人が不合格となる入試です。)
その生徒が受ける高校の学科の特色選抜における倍率は3倍以上でした。
内申点的にボーダーラインを超えていたとしても当日のペーパーテストで十分逆転が起こりえる、特色選抜はそんな入試でした。
その子は中学1年生から塾に来てくれていました。
人懐っこく、明るく、よく話す子でした。
中学生と言えば反抗期もあり、お母さんともまともに話さない子もいますが・・・
その子は違いました。
お母さんと仲が良く、とても和やかな三者懇談をしていたのを、よく覚えています。
特色選抜。
いくら当日のペーパーテストで逆転があるかも、といえ、その子の内申点的には悪くはない数字でした。
合格の可能性が十分にあると踏んで、送り出した特色選抜でした。
当時、合格発表は受験した高校の敷地で、受験番号が掲示される形式。
コロナ禍を経て、今ではどこもWEB上での発表が当たり前ですが、当時はまだ、このような掲示による発表がありました。
その子はお母さんと合格発表に来ていました。
緊張する、と言いながらお母さんとその瞬間を待っていました。
僕はちょうどその子とお母さんのちょうど後ろあたりに立って、発表の瞬間を待っていました。
緊張を和らげるためでしょうか。
その子はお母さんと手をつなぎながら、発表の瞬間を待っていました。
時間になり、校舎から出される大きな紙。
合格者の受験番号一覧がのった紙。
その子の受験番号はありませんでした。
マジか。
一瞬頭が真っ白になりながらも、その子の様子はどうか。
後ろだったので顔は見えませんでしたが、おそらく呆然と立っている。
もしかすると涙を流しているのかも。
声をかけよう。
そう思ったとき、お母さんはその左手で、その子の右手をギュッと強く握りました。
包み込むような、慰めるような、励ますような、叱咤するような。
いくつもの想いがその左手には込められている。
当時、私は独身で、子もいませんでしたが、親が子を思う気持ちの深さを痛いほど感じました。
そして自分の無力さを感じました。
その後、その子は、一般選抜に向かって勉強を始めました。
一度、特色選抜でそのような結果を見せつけられても、その子は再び走り出しました。
そして、一般選抜での合格を決めました。
今でも、お母さんが子どもの手をギュッと握りしめたその光景は忘れられません。
親子の愛情の底知れぬ深さを、目の前で感じました。
あの子が走り続けられたのは、そんなお母さんの深い愛情があったからなのだろうと思います。
1月終了まであと1週間。
入試はすぐそこですね。
私たち指導者側も熱量を持って指導しています。
ですが、その熱量の深さは、やはり保護者の方にはかないません。
受験生の方には、少しでもその想いを感じてほしい。
でも特別なことはしなくていい。
勉強しているその背中を見せることで、保護者の方の想いに答えてほしい。
体調に気を付けて、悔いなく受験を終えられるようにしてくださいね。