塾としての2つの軸

塾としての指導には大きく2つの軸があります。
① ゴールに向けて塾がぐいぐい引っ張る指導
② 生徒が自分で走り出すのを忍耐強く待つ指導

一見すると相反することのように見えますが、この塾の指導にはこの2つが混在します。定期試験や入試のように期限が決まっている場面では①が必要ですし、最終的には②=「自走する力」がなければ高校受験はよくても大学受験では苦戦するでしょう。そもそも本質を追求しない勉強では高校入試の問題でもつまづきます。

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生徒が本当に伸びる瞬間は、「やらされている」ときではなく、自分で「ちょっとやってみるか」と思ったときです。
「ちょっとやってみるか」と自ら考え、行動を起こす生徒は、本質を理解しようとします。
すなわち勉強が自分事になり、そして前のめりになります。
目標を立て、そこから逆算して行動計画を立て、実行します。
こちらが間違った指導を入れない限り、間違いなく生徒の学力は伸びます。

とはいえ、大人でもダイエットの決意が長続きしないように、その気持ちは3日でしぼむかもしれません。
ですが、その小さな火種を絶やさないことが重要です。

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保護者会を実施している理由もそれです。
スケジュールや入試制度などの情報提供はもちろん大事ですが、一番の目的は「やってみよう」という気持ちを持ち帰ってもらうことです。あえて授業とは違う雰囲気を演出し、少しでもやる気が湧く話を盛り込んでいるつもりです。

日々の声掛けもそうです。
褒めたり叱ったりしながら、「やってみる」の気持ちを少しでも長く保たせる、または再び喚起することを意識しています。生徒は思った通りに動くわけではありません。だからこそ、辛抱強く待ちつつ、時に強く背中を押す必要があります。

私が集団授業にこだわるのは、「ちょっとやってみるか」を引き出しやすいと考えているためです。
友達が必死に問題を解く姿。
当てられて質問に答える姿。
褒められたり叱られたりしている瞬間。
自分の理解度が今この集団の中でどれくらいなのか。
あの子に点数は勝ったのか、負けたのか。
この休み時間にこれだけあの子は勉強しているのに、自分はこれでいいのか。

その瞬間のどれもが「自分もやってみよう」のきっかけになりえます。

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奈良県では一部の高校を除き中学1年生から内申点が入ります。やる気がない生徒であっても、形にして結果を残さなければ、入試においてハンデを背負うことになってしまいます。
そのために量を課すこともありますし、こちらが強くリードしていく場面もあります。
それでも、ただやらせるだけではなく、できるだけ「少し頑張ってみよう」と思えるように働きかけます。これは①と②を同時に意識する場面でもあります。

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授業は目的ではなく、あくまでも「自走する生徒を育てるための潤滑油」です。
その第一歩は、「ちょっとやってみるか」という気持ちを引き出すこと。
塾としてのイベントや授業の全ては、その小さな一歩を生み出すためにあります。

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①と②のどちらを重要視しているのか?
その答えは「どちらも」です。
しかしどちらかに偏るのではなくバランスこそが大事だと考えます。

①と②のどちらか一方だけを求める場合、この塾に通うことはお勧めしません。
目先だけの点数に終始するつもりはありません。しかし、結果にこだわらない指導をするつもりもありません。
ただ定期試験の過去問を配り、答えを覚えさせるような指導はしません。
ですが、点数が取れるよう本質的な理解を追求することを止めはしません。

必要であればこちらが主導し、量を課すこともあります。
一方で、辛抱強く待つこともあります。待つ期間は、もしかすると中3後半まで続く可能性もあります。
早急な結果が必要な場面が存在することは承知していますが、場合によっては「待つ」。そのスタンスはご理解いただきたいところです。

最初の一歩は「ちょっとやってみるか」という小さな気持ちを引き出すこと。保護者会や三者懇談などのイベントや日々の授業は、その一歩を生み出すためにあります。
ご入塾を検討の際はぜひこの点をご理解いただければと思います。