途中式の大切さ

数学や理科の学習において、途中式を書くことを口うるさく言います。それには大きく2つの理由があります。

1つ目は、将来の学習への準備です。

中学2年生の数学では「証明」という単元を学びます。「この三角形が二等辺三角形であることを証明しなさい」というように、結論に至るまでの根拠を筋道立てて説明する問題です。また、高校数学では途中の過程も採点の対象となるため、答えだけ書いても満点をもらえません。途中式を書く習慣は、こうした学習に備えるための大切な練習でもあります。

2つ目は、応用力を育てることです。こちらのほうが、より本質的な理由です。

数学には非常に多くの出題パターンがあります。それをすべて丸ごと覚えることは、現実的ではありません。では、どうすれば応用問題や発展問題に対応できるようになるのでしょうか。

鍵となるのは、「以前の問題で使った考え方を、新しい問題に活かすこと」です。

迷路を例に考えてみてください。スタートからゴールまでのルートを一瞬で見つけられる子がいます。ただ、これは生まれ持った感覚によるところが大きく、誰もがすぐに身につけられるものではありません。

そうではない多くの子どもたちにとって有効なのは、「前に解いた問題の考え方が、この問題でも使えないか?」と立ち返る習慣です。それが難しければ、「さらにその前に使ったアプローチはどうか?」と遡って考えてみる。数学の問題を解くとは、まさにそういうことです。

途中の考え方を大切にしている子は、こうした思考の引き出しが着実に積み上がっていきます。一方で、「答えが合っていればいい」という意識が強いと、考え方そのものが定着しにくくなります。数字が少し変わっただけで解けなくなってしまうのは、答えの正誤にこだわるあまり、途中の思考プロセスが身についていないことが原因であることが多いです。

大切なのは、答えが合っているかどうかよりも、考え方や方針が正しいかどうかです。

ただし、計算問題は別です。計算は正確に答えを出すことが必要で、これは思考力の土台となるものです。正確な計算力があってこそ、はじめて「考え方を大切にする」という学習が活きてきます。

 

お子さんが問題を解いているとき、答えの○×だけに目を向けるのではなく、「どうやって解いたの?」「なぜそう考えたの?」と途中の思考に関心を向けてみてください。

途中式を書く習慣、考え方を言葉にする習慣——これらは、一朝一夕では身につきません。しかし、日頃から意識して積み上げていくことで、応用問題にも動じない「考える力」の土台になっていきます。

計算が速くて正確なことは大切です。しかしそれと同じくらい、いやそれ以上に、「なぜこの方法で解くのか」を自分の言葉で説明できることが、数学・理科で長期的に伸びていくための力になります。

定期テストの点数は、今日明日の勉強ですぐに変わるものではありません。でも、途中の考え方を大切にする姿勢を今から育てておくことが、中学・高校・そして大学受験へと続く学力の根っこをつくることにつながります。