忘れられない生徒

TSUBASA塾は生駒市さつき台に2023年3月開校予定の学習塾です。

対象は小5・小6・中1~中3です。

 

今日は成人の日です。

成人の日は、「あの代の子たちが成人だな…」と昔を振り返ることがよくあります。

 

たくさんの生徒を担当してきましたが、その中に大阪府の公立高校の進学した女の子がいました。

彼女を担当したのは、彼女が中学3年生の春休みのころ。

彼女のクラスの理科を担当することになりました。

 

それまで彼女のクラスを担当していた先生はベテランの先生で、私は当時25歳くらいだったと思います。

春休み最初の授業のあと、彼女は言いました。

「○○先生(前の先生)がいい!先生(私のこと)は若すぎる!」

「先生(私のこと)は青いねん!」

 

19歳から塾講師をしていましたが、青いと言われたのはそれがはじめてでした(笑)

彼女から見れば頼りなさそうに見えたんでしょうね。

当時は細かったですし。(45kgくらいだった気が(笑))

なかなか隔たりを感じるスタートだったのを覚えています。

 

彼女は、塾から帰るときは電車を使います。

毎回、駅まで帰るときは、私が送りました。

「前の先生がいい」と言われながらも、毎回毎回送っている中で、「授業はわかりやすい」と言ってくれるようになりました。

「“授業は”やで」「授業はわかりやすくても、先生は青いねん」

 

気づけば、授業後は毎回質問を持ってきて、聞き終わったら駅まで送る。

そういう流れができました。

お互いの努力や過ごす時間が長くなって、距離は初めのときよりは縮まったのだと思います。

 

中3の9月ごろ。

この時期は、進路を決めるテストが学校や塾で数多く行われ、毎週のように「合否判定」が出ます。

すべての判定で納得のいく結果が出る生徒などいません。

彼女もそうでした。

 

うまくいかない結果を見て、泣くこともありました。

泣きながら駅まで送ることも。

「私どうしたらいいんかな?」

「先生は、どうしたらいいと思う?」

彼女が僕の“青さ”を気にしていたのは、こういうときに頼れる人間を探していたのかもしれません。

ある意味、誰かに寄りかからないと進めないという、弱さだったのかもしれません。

 

彼女は大阪府立高校が第1志望でしたが、その前にある私立高校を受ける予定でした。

その高校は全国的にも名前の通った難しい高校です。

彼女の頑張りが足りなかったとは思いません。

しかし結果は残念でした。

「本番でパニックになった。一人だと思うと不安で怖かった」

合格発表のあと、彼女はそう言っていました。

 

「一人であることの不安」

これが本当に一番の原因だったのかはわかりません。

彼女自身は、それを一番の原因と考えているようでした。

それから彼女は毎日自習室にこもりました。

 

話す機会が減りました。

帰り道に他愛のない会話をする以外、ほとんど話さなかったんじゃないでしょうか。

帰り道以外に、あえてこちらから声をかけることも避けました。

一人で戦わなければ、本当に勝つことはできない。

彼女は本命の府立入試まで、覚悟を決めていました。

 

それから彼女としっかり話したのは、彼女が第一志望をつかみ取ったあと。

満面の笑みで合格の報告に来てくれたときでした。

当時大阪で3本の指に入る府立高校です。(文理科が始まる前年だったかな)

 

入試の日は泣いても笑っても1人で問題に立ち向かわなければなりません。

ある意味、受験生の背中は孤独です。

その孤独に、我々がどう寄り添うべきなのか、非常に考えさせられた一年でした。

声をかけること。あえて声をかけないこと。

一人ひとり違います。

一人ひとりとちゃんと向き合わなければ、それはわかりません。

 

今週末には大学共通テストが行われます。

受験生の皆さんには、悔いのない受験をしてもらいたいものです。

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